江戸時代に花開いた和彫りの技術。
これを現代のジュエリーデザインに生かしたいと思った。
店の前で笑って待っている女性がいる。
インタビュー中も撮影中もずっと笑っている。とにかく明るい。今までいろんな人物に会ってきたが、これほどに明るい人は初めてだ。
ジュエリーデザインを志すものにとって「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」は憧れの存在かも知れない。しかし、この学校を出たとしても実際にジュエリーデザインの制作に携わること。それは現在の日本のジュエリー業界では難しいのが現実だ。
しかし、ヒコ・みづのジュエリーカレッジを卒業し、自分が本当に作りたいものを作り続けているのがシンコーストゥディオのジュエリーデザイナー、小原沙優さんだ。
現在、「和」、そして「江戸職人の技」をテーマにジュエリーデザインを行なう。その彼女が初めて『和』に目覚めたのはジュエリーデザインコースに入って3年目。
「ジュエリーの歩み100年展」だった。そこで見た簪(かんざし)や髪飾りに施された美しい彫り物は彼女にとっては衝撃的であり、何処か待ち望んでいたものでもあった。
「江戸時代に花開いた和彫りの技術。これを現代のジュエリーデザインに生かしたい」
その後、実際にシンコーストゥディオに入り、彼女はそのアイデアを最大限に生かしたジュエリーデザインを創ることになる。
「ジュエリーという小さなスペースに、いかにうまく『和』を組み入れるか。それを考えてデザインしていくのが楽しい。アトリエで実際にデザインを描いている時はもちろん、街を歩いていて雑草を見つけても、田舎に帰って桜島の噴火を見ても、すべてデザインと結びつけてしまいます」
そして、できあがったデザイン画を持って職人のもとへ足を運び、伝えていく。それにやがて彼らの経験と技術、アイデアとが加わり、完成品ができあがる。その中には、他に類を見ない着物の紬(つむぎ)が持つ独特な素材感のジュエリーも生まれた。
彼女の夢は、自分がデザインしたジュエリーをドレッシーなシーンだけでなく、カジュアルファッションででも、あらゆるシーンで、あらゆるスタイルでいろいろな人に着けてもらうこと。「もちろんそれは日本だけでなく、世界中の人が!」最後に最高の笑顔で語った。



